敵がきた
昼下がりに敵がきたと電話があった僕の友達の家は森の中にあって蛇とか虫の類いがただいまとばかりに家に入り込んでくるのだけれどおもしろいことに住んでいる友達はそのあたりの生き物が嫌いときているたまに連絡があったと思えば退治しに来いと言うので行っていられないなといい加減に引っ越したらどうだいと笑い飛ばすのだけれど今日は勝手が違うようだった敵が来たよタランチュラがいると言う間違いないよだってとても大きいんだと巣でも作られたらもう部屋を閉め切るしかないだろうと目が離せないらしいなんとかその蜘蛛にお帰り願えないものかと僕は考えたあげく蜘蛛は目が悪く臆病なものが多いと何かの読み物で読んだことがあったので攻撃はしてこないだろうと君の家にある1番長いもので戸口の反対側からゆっくりと押し出したらどうだいと提案してみた友達はパニックなのか1番長いものは定規かな30cmのやつとだいぶん短めのものしかも蜘蛛の近くにあるからとりにはいけないのさとなげやりもう僕も電話を切りたくもなってきたけれど少し笑えたのでつきあうことにしてじゃあ僕が見張っていてあげるから外で枝でも拾ってきてつついたらどうだいと提案してみた来てくれるのかい?と声を跳ね上げてきたので2時間はかかる距離だよ行っていられないよとテレビ電話にして置いていけばいいじゃないか僕が見張っているからさ君は外に武器を拾いにいっておいでよとなった友達はわかったと納得してくれて電話を何かで床に立てかけて蜘蛛の方に向け設置ちゃんと見張っていておくれよと言い残してドタドタと駆け出していった電話のモニターごしで僕の目の前に写っていたのは確かに大きいけれどタランチュラとは思えないよく見る蜘蛛だったので笑えたけれど寄ってきたらモニターでも迫力がありそうだとなって試しにおいでおいでと呼びかけてみた蜘蛛は耳の器官がないけれど体表の毛の振動で音を感じることが出来るらしいと風のうわさ結果びくとも動かないのでまあそうだよねとなったところで友達が帰って来ておいでおいでと呼びかけている僕にちょっとと笑ってきたのでくくくっとなってさあお帰り願いますかと何を持って来たんだいと聞くと大きめなスコップをこれさとモニターにみせて来たいいでしょと自信ありげだこれさえあれば無敵だよねとばかりに握りしめていたのでいいものがあったねと面白くなってきた僕も事の結末をみたいからこのままみせておくれよと頼んで友達が蜘蛛に向かう後ろ姿を見守ってなんなんだこの画はと面白がっていたら蜘蛛は友達の差し出したスコップに見事に乗りあげたわあとなった友達にそのままスコップごと外にほうり投げたらとスピーカーごしに提案すると友達は慌ててみたこともない力を発揮しやあとなかなかの高さで大きなスコップを放り投げた僕は蜘蛛がスコップに乗って空を飛ぶ気分を想像していたら遮るように友達はさっさと戸口を閉めて座りこんでしまった少しの沈黙のあとありがとうと電話をぷちっとしたのでなんだったんだと笑えてメールをひとつだけしたスコップはもう廊下に置くべきだね返信はさっき脱ぎたての靴下なんかで携帯立てかけてたなんか足蹴にしたみたいになっちっゃてごめんくくくっとなったので返信はしない